人財はBIPROGYグループにおける重要な資産(アセット)であり、人財こそ当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上の原動力です。私たちを取り巻く環境は、加速度的に変化し、多様化しています。グループのコーポレートステートメントにこめられた「先見性」と「洞察力」、イノベーション、ビジネスエコシステム創出による社会課題解決のためには、ダイバーシティ(DE&I)の視点が不可欠です。産業や業界の枠にとらわれない多様な価値を持った企業や組織とコラボレーションし、ビジネスエコシステムを形成していくためには、私たち自身も幅広い価値を生み出せる多様性を備える必要があります。経験や常識に囚われない新しい視点や考え方は、画一的な組織からは生まれません。性別、国籍、年齢、障害の有無等に関わらず多様な価値観とバックグラウンドを持つ社員が個々の能力を最大限に発揮できる組織、風土改革と、一人ひとりがウェルビーイングを追求し、 変化を楽しみ恐れずにチャレンジしながら個人内の多様性(イントラパーソナル・ダイバーシティ)を広げていく人財改革に継続的に取り組み、社会的価値創出企業への変革を着実に進めています。
イノベーションを継続的に創出できる人財改革・風土改革に取り組み、社会的価値創出企業への変革を着実に進めています。
先見性と洞察力、テクノロジー、ビジネスエコシステムを掛け合わせ、社会課題解決を目指していくには、顧客・パートナーを巻き込み、ビジョンや価値観を共有して、ともに新しい社会的価値を創出していける人財が必要です。
当社グループでは、重点施策の一つとして人財戦略に取り組んでいます。「Vision2030」に向けた「経営方針(2021-2023)」では、多様な人財の価値を最大限引き出す人的資本経営をより強化するため、タレントマネジメントシステムの構築・運用と、ROLESを軸とする「HRアーキテクチャ」を基に、人財マネジメント、人財開発施策を推進しています。主要施策として「事業戦略と人財戦略の連動強化・リソースマネジメント」「キャリア自律・リスキリングの促進や人事制度改定など、人財の価値創出を極大化する仕組み・環境づくり」「DX人財やビジネスプロデュース人財など、重点分野をリードする人財の獲得と育成」などに注力しています。
さらに、2023年4月に人的資本におけるグループ全体戦略の推進を図る組織として、「人的資本マネジメント部」を新設し、人財ポートフォリオマネジメントを行うとともに、グループ人財戦略を立案・推進する組織として、経営リーダーの育成や働き方改革、組織・人財開発、DE&I※1施策などを、より一層推進していきます。
今後も「Purpose」を指針とし、自律的・主体的にさまざまなステークホルダーと対話し、周囲の社員はもちろん、社外の人財も巻き込みながら、より大きな価値を生み出せる力を持った人財の輩出を戦略的に進めていきます。
当社グループでは、イントラパーソナル・ダイバーシティ(「個」の多様性)による持続的なイノベーションを促す人財をより多く輩出するため、2019年度より「ROLES」施策を遂行しています。ROLESとは当社グループにおける「業務遂行上における役割」のことで、業務内容(JOB)および業務遂行上必要となるコンピテンシーやスキルを定義したものを意味し、経営戦略に基づいた各事業戦略で必要とする人的資本の種類・質・量を可視化する中核概念です。
ROLESを用いた人的資本の可視化により、経営方針に沿った人財の獲得、育成を実現し、継続的にイノベーションを創出する風土の醸成を進めています。具体的には、ROLESを人財ポートフォリオ(部門/組織/事業領域/年代別など)として取りまとめ、組織全体の多様性を俯瞰し客観的に把握することで、アサインメントやローテーションの促進、育成強化対象者の選出など、組織のリソースマネジメントで活用しています。
当社グループでは、人財データを一元管理するタレントマネジメントシステムを中心に、人財育成や人員の配置といった人財戦略全般の推進を促すHRプラットフォームを構築しています。HR プラットフォームにより、「個人のキャリア自律」「組織能力の向上」「人的資本の可視化」を進め、「Vision2030」の実現を目指します。
人財データを可視化することで、社員の主体的なキャリア構築、自己成長に役立てるとともに、配置、アサインメント、育成などにおける人財戦略上のデータドリブンな意思決定を進めます。
社会課題の解決につながる新規事業の創出や既存事業を加速し当社グループの持続的成長と価値向上を実現させていくためには、多様な人財を採用していく必要があります。そのため様々なアプローチを用いて人財へコンタクトし採用機会を増やすとともに入社後に適切なフォローアップを行うことで人財の定着を図っています。
潜在能力があり、当社の事業に対する興味・意欲が高く、大きな成長と将来的な貢献が期待できる人財を採用しています。なかでも「新しい事業分野を切り拓くための精神と資質を持つ人財」と「実践的なプログラミング経験や研究開発経験がありAIやIoTなど高度な情報技術を持つ人財」については、一般の新卒入社者とは異なる処遇で採用しています。2022年度は当社グループで205名を新卒採用しました。
この様な高いポテンシャルを持った人財を採用するためには、接点を多く持つ必要があり、様々な方法でアプローチを実施しています。特にBIPROGYでは、当社に対する学生の認知度を向上するため、経営者や社員が登壇し当社のビジョンやビジネスを語るイベントのオンラインでのライブ配信をしており、2022年度は1,183名が参加しました。
併せて、当社への理解促進を目的とし、会社・業務紹介を行う1Dayジョブセミナーも開催しており、2022年度は計15回開催し、延べ1,097名が参加しています。
また、外部人財データベースを活用したダイレクトリクルーティングも実施しており、高いポテンシャルを持った人財へ直接コンタクトしています。そのうち、当社に興味をもつ方には、インターンシッププログラムへの参加を案内しており、ビジネス創出、システム開発など希望コースに応じた演習や社員との座談会を通じて、具体的な業務理解の促進や応募意欲の醸成につなげています。2022年度のインターンシップには、募集・選考を経た222名が参加しました。
当社グループの持続的成長と価値向上のため、新規事業創出や既存事業を牽引できる経験や知識、人脈などを持つキャリア人財を主に採用しています。
併せて、入社後に著しい成長と将来的な貢献が期待でき、当社グループの事業を加速できる就業経験のある若手人財をポテンシャル人財として採用しており、2022年度の実績としては、当社グループで208名を中途採用しました。
採用手法としては、人財紹介エージェントとの密なコミュニケーションを通じた採用母集団の拡大や、採用部署と人事部門が協業した求人票づくり、採用選考プロセス(書類選考、面接、オファー面談、等)を丁寧かつ柔軟に組み合わせることで、求職者への密度の濃いアプローチを行い、求職者の志望度向上に力を注いでいます。
転職潜在層と呼ばれる「転職予備軍」に対するアプローチも試行しており、社外人財プラットフォームに登録している人財に直接コンタクトする「ダイレクトリクルーティング」や、社員紹介「リファラル採用」、当社社員のカムバック「アルムナイ採用」といった手法にも積極的に取り組んでいます。
また、中途入社者の組織への定着とパフォーマンスの早期発揮を支援するための施策として、入社直後に業界・会社理解を促すセットアップ研修や、入社数か月後のフォローアップ研修、定期的なヒアリング、座談会などを実施しています。更に、中途入社者を受け入れる上司・同僚向けに、受け入れのノウハウや他部署事例を盛り込んだハンドブックの配布、説明会を実施する等、中途入社者がぶつかる悩みや壁に関して理解を深めることで、新たな人財との化学反応による組織活性化に向けた働きかけを進めています。
ダイバーシティ&インクルージョンの促進と中長期的なグローバル展開を見据え、外国籍人財の新卒採用と中途採用を実施しています。2022年度は、BIPROGYで2名の外国籍人財を採用しました。
また、2023年度の新卒採用に向けては、国内大学における外国籍留学生とともに、海外技術系大学を対象とした人財採用に向けた活動も実施しております。
ビジネス環境に応じた組織編制に毎年見直すとともに、社員の知識や経験などの内部的な多様性(イントラパーソナル・ダイバーシティ)を向上させるべくローテーションによる配置を実施しています。異なる組織への配置により、社員個人に新たな知識や経験が加わり、「知識の再構造化」が起こることで、これまでとは別の視界や思考が生まれます。これにより、社員の成長を促すとともにイノベーション創出の土壌を形成します。
また、自らの異動希望を申告できる「自己申告制度」や新規分野、戦略的・重点的業務等への人財ニーズに対して社内公募を行う「e-キャリアボード」を用意し、社員が自らの意思によってモチベーション高く異動先の組織で働ける仕組みを整備しています。
人財は当社グループの重要な資産(アセット)であり、人財こそ当社グループの成長の原動力であるという基本理念のもと、事業戦略に連動した人財戦略を実現するためのさまざまな人財育成施策OFF-JT(*1)、OJT(*2)、OCT(*3)、社員一人ひとりの多様性が活かされ、心身ともに生き生きと働けるしくみ構築に取り組んでいます。
Vision2030実現に向け、特に、ROLESを軸とした人財の見える化と、「事業戦略と人財戦略の連動強化」「キャリア自律・リスキリングの促進」「DX人財やビジネスプロデュース人財 など、重点分野をリードする人財の獲得と育成」を主要施策として推進しています。
当社グループでは、BIPROGY CDP(Career Development Program)として、経営ビジョンを踏まえた人財戦略をもとに人財の採用、育成、配置に関わる諸制度・施策を整備・運用・拡充しています。
人財育成計画については、研修と現場でのアサインメントを連携させ成長のサイクルを計画的に推進しています。経営方針をもとに、組織長が各組織における経営方針を踏まえた人財育成に関する計画を作成し、全組織長が組織目標に合わせてROLESを軸に人財育成計画を立案・実行しています。
社員一人ひとりが自身のキャリアの方向性と役割の重なりを組織長とともに考え、目的意識を持ち仕事に取り組むことで主体的なキャリア形成が実現できると考えています。会社のROLESと各組織の育成計画、社員本人のキャリアに対する考えや希望を踏まえ、上司と本人でキャリアの目標や計画を継続的に運用しています。
期首のキャリアデザイン目標設定では、中長期で目標とするROLES、単年度のROLESと目指す熟達度を登録し、期末の振り返りでは経験済みのROLESと熟達度、具体的な業務の遂行結果を登録することとしています。これにより組織全体の人財育成の進捗状況をデータとして可視化するとともに、個人の多様な経験を蓄積し、アサインメントや育成に活用していきます。
社員一人ひとりが自身のキャリアの方向性と役割の重なりを組織長とともに考え、目的意識を持ち仕事に取り組むことで主体的なキャリア形成が実現できるものと考えています。業務履歴や資格などの客観的な事実情報を基にスキルや過去から将来にわたるキャリアの振り返りを行います。
スキル調査は、過去担ってきた業務、プロジェクトや取得した資格を基にスキル修得状況を明らかにするためにキャリアの棚卸しの一環として実施しています。登録されたスキル調査のデータは次に上げる目的で利用していきます。
当社グループでは、社会インパクトを自ら創出でき、事業創出に関する専門性を持つ人財を「ビジネスプロデュース人財」と呼び、KPI(マテリアリティ目標として、2021年度から2023年度で対象となるROLESの熟達度が最上位となる社員数を2倍にする)を定めて育成に取り組んでいます。
2010年度から2022年度まで13年間、事業創出の実践力を習得する育成プログラム「Next Principal」(総受講者数は405人)の実施や、2017年度から毎月1回、始業前の時間に、スタートアップの技術やサービスなどを紹介する場「Morning Challenge」を開催しています。役員から社員まで毎回500~800人の社員が自主的に参加しており、2023年度からは「Morning Challenge」のスピンオフ会として、昼休みの時間を活用し、よりインタラクティブな対話の場である「モアチャレ」を開始、毎回100~150人程度の社員が自主的に参加しています。こうした人財育成プログラムや、コミュニティの創出を通して、確実に社員の意識や行動変容が進んでおり、社会課題解決に向けた新規ビジネスの創出につながっています。今後も育成プログラムの見直しなどにより、ビジネスプロデュース人財の育成をさらに強化していきます。
社会DX、顧客DXを推進する人財の育成として、デジタル事業の実現を主導するプロダクトマネージャー、事業・業務に精通したデータ解析・分析のスペシャリストであるデータサイエンティスト、クラウドサービスのスペシャリストであるクラウドエキスパート等、対象ROLESを定義し、ROLESごとに、基礎知識の習得から実践的なスキルを身につける多様な育成プログラムを推進しています。
また、サービス開発力強化のため、アジャイル開発手法の習得を推進しており、認定スクラムマスター資格の習得を目標とした研修も実施しています。
変化の激しいビジネス環境において、スピード感や柔軟性を重視した新たな開発能力を向上させるため、アジャイル開発に積極的に取り組んでいます。
当社グループでは、アジャイル開発の中でも特に主流であるスクラム開発に軸を置いたエンジニアの育成プログラムを実施しており、受講者のスクラム開発者資格取得も同時に推進しています。2023年度は、中長期の目指す役割(キャリアデザイン上の目標)における「スクラムマスター」設定者82名のうち希望者24名に対してプログラムを実施しました。
これまでプログラムを受講した79名のうち2023年度末時点で65名が資格(Certified Scrum Master (CSM)等)を取得しています。
またアジャイル開発の案件数は2021年度-2023年度の3か年で、累計183件となっています。(2020年度の36件から2023年度64件に増加)
サイバーセキュリティ経営の実践の中核として、「サイバーセキュリティ戦略」を策定し、人財育成に注力しています。高いスキルを持つ専門人財の育成に加え、組織全体のセキュリティ人財の能力を高めるため、以下のような取り組みを行っています。
また、研修受講者を、実際のシステム開発案件に確実に割り当て、実務対応を行うよう、研修とアサインメントを連動させることで、セキュリティ事故の未然防止を図っています。
自分たちが会社を動かしていく志を持ち、継続的な変革にコミットしていく経営リーダー層の育成に取り組んでいます。サクセッション・プランのもと、経営陣幹部の後継者輩出に向けた人財パイプライン構築のため、「経営リーダープログラム」を2018年より実施し、継続的な変革にコミットしていく経営リーダーの輩出を目指しています。当プログラムのひとつである「経営リーダーアドバンスト」では、取締役や社内外有識者との対話セッションなどを通じ、経営リーダー候補者として必要な視座・視野・視点の獲得に取り組み、2022年度までで合計30名が受講しました。
2022年度からは、候補者層の人財プール /パイプラインを強化し、より計画的・継続的な経営者輩出に向けた仕組みを構築するため、タレントマネジメントシステム導入による人財に関するデータの一元化、新規のアセスメントの導入、社内外の育成プログラムの刷新、アサインメントの仕組み設計を進め、当社グループのサステナビリティ経営につなげていくことを目指しています。
当社グループでは、経営方針(2021-2023)における一つの柱として、社会課題を解決する企業グループとなるための風土改革の推進を掲げました。進捗を図る指標として、エンゲージメントサーベイのスコアを活用しています。
経年のサーベイ結果の分析から、企業理念やPurposeの浸透度を当社グループの課題と捉え、2023年度は役員と上位マネジメントを対象に、Purposeの社内浸透を目的としたワークショップを実施しました。(2023年度受講者数:140名)
その結果、ワークショップに参加した上位マネジメントの所属する組織のうち、65%の組織でエンゲージメントスコアが向上し、平均スコアは実施前の56ポイントから57ポイントと、1ポイントの向上が確認できました。
新卒新入社員に対しては、配属時に必要となる基本知識/スキルの習得を目的として、以下の研修を実施しています。
また、新卒入社後3年目までの社員に対しては、OJT制度を運用しています。ここで、育成/成長計画ツールの提供によって本人の成長を支援するとともに、定期的なパルスサーベイおよび面談を実施することで早期離職の防止を狙っています。
当社グループの社員が自主的かつ自律的に学ぶことができるよう多様化する働き方にあった学習環境を整備し、自身のキャリアパスに沿って成長するための自己投資をバックアップし、充実した会社生活を実現することを目的とした各種制度を設けています。
具体的には、通信教育への補助や希望する外部研修の受講に割引が受けられる制度を設けています。
また、当社グループの戦略や業界動向に合わせグループや事業部門などにより外部資格を定め、計画的に社員の資格取得を推進しています。
自社での就業では得られない経験を通してスキルや知識を身につけることや、自身の今後のキャリアを見据えた準備を支援しており、所定の手続きのもと副業を認めています。また、定年退職後の再雇用制度においても、週5日勤務のほかに、週3日又は週2日、もしくは週1日の勤務を選択でき、就業日以外については副業を認めています。
特別なスキルや経験を持った人財(エキスパート)は、管理職の任を外れた後でも、個人のもつスキルや経験の範囲や度合いにより、高度なエキスパートである専門職として処遇し昇格も実施しています。
積極的な社外へのプロフェッショナル貢献活動を会社が推奨する仕組みとしてペンクラブ制度を設けています。当社グループの従業員が対外的な執筆、講演、委員、出版活動を行うことを奨励し、社会的な貢献への寄与や社員のスキル向上を目的としています。
経営方針(2021-2023)における組織力強化の目指す姿として、「組織力強化ビジョン2023︓社員が会社・上司・同僚を信頼し、互いの強みや考えを生かしながら、共に新たな価値創造にチャレンジし続ける組織になっている」を策定しました。ビジョンの実現に向け、「組織能力の最大化に向けた組織長向けマネジメント支援」と「より高いステージの組織を担うためのリーダーシップ開発」の2つの方針に基づいて各種取り組みを推進していきます。また、そのKPIとして組織ごとのエンゲージメントスコアの向上を目指しています。
経営方針(2021-2023)における働き方改革の目指す姿として、「社員が自身のライフスタイルや社会の環境変化に柔軟に対応しながら、成果を出し続けられる働き方」を設定し、それに向けた各種打ち手の検討・実行を推進していきます。
なお、グループ全体としては、毎年度上期に実施しているエンゲージメントサーベイの中から「働き方」に関する項目をピックアップし、項目ごとに一部加重平均を加えた「働き方関連スコア」を設定し、マテリアリティのKPIのひとつとして、働き方改革に関する目標値を設定して、ソーシャル委員会等を通じてグループ全体で各種取り組みを推進しています。スコア「3.36」以上となることを目標としており、2021年度の実績は「3.4」、2022年度は「3.47」でした。
4つの切り口(働く時間・働く場所・働く仲間・その他)を設定し、「働く時間」と「働く場所」の自由度、柔軟性を高めることに重点を置いた取り組みに注力しています。制度の導入に留まらず、社員一人ひとりの理解・活用を目的にガイドブックの公開や社員向け説明会の開催等を通じて制度の活用促進を図っていきます。このような活動を通じ、社員一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮し、チームとしての成果の向上につなげること、さらには新たな価値の創出につなげていきます。
今後も、多様な人財が当社に集い、切磋琢磨しながら、活きいきと活躍できる組織風土の実現に向け、更なる施策・仕組み・環境整備の検討について、全社での議論を行いながら進めていきます。
当社グループでは、「Purpose」を支える「Principles」のひとつに「多様性の受容と獲得」を掲げており、一人ひとりが「個」の多様性を高め、互いの個性を尊重し合い、自らの個性や能力を最大限発揮できる風土の醸成を目指しています。
また、以下の基本方針において、人権および多様な文化・慣習を尊重し、人種、性別、年齢、信条、宗教、国籍、性的マイノリティ、心身の障害などによる差別を行わないことを明記しています。
DE&Iの推進にあたっては、トップコミットメントのもと、女性・障害を持つ社員・LGBTQ・外国籍人財といった様々な属性に対する取り組みと、心理的安全性やインクルージョン、エクイティといったDE&Iの風土を醸成するための全体的な取り組みを両輪で進め、「理解浸透・意識/行動変容促進」「制度・しくみの整備」を柱として各種施策に取り組んでいます。
社内イントラネットにて社長および担当役員によるDE&Iに関するトップメッセージを公開しています。また、年に1度のDE&Iセミナーにおいて、社外有識者による講演や担当役員自らが全グループ社員に向けてDE&I推進の必要性や目指す姿を発信しています。その他、全グループ社員を対象としたダイバーシティeラーニングや、メルマガ配信により、DE&Iの理解浸透を促進し、風土変革に取り組んでいます。また推進部門だけでなく、現場の社員が自分ゴトとしてDE&I推進に取り組み、自走化するしくみづくりを展開しています。
ダイバーシティ・マネジメント研修 | 組織長向け必須研修。多様な人財の個性を活かすため、心理的安全性の醸成とアンコンシャスバイアスへの対処をメインテーマにしている。 |
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DE&Iセミナー | 当社グループのすべての役職員対象のセミナー。社外有識者による講演、担当役員によるメッセージ発信 |
ダイバーシティeラーニング | 全グループ社員を対象としたeラーニング(受講必須) |
アンコンシャスバイアスセミナー | 全グループ社員を対象としたセミナー。アンコンシャスバイアスを理解し、アンコンシャスバイアスに対処する方法を学ぶ。 |
「Diversityな人たち」の紹介 | 女性、育児両立者、ミドルシニア、外国人など、さまざまな切り口で、社員のインタビュー記事を、社内の広報サイトへ掲載(年2回程度) |
DE&Iメールマガジン | 全社員へ、不定期でDE&Iに関連したテーマのメルマガを配信(年6回程度) |
DE&Iダイアローグ | 現場部門の社員による対話を通じた取り組みにより、DE&I 推進の自走化を目指す活動を展開。役員や組織長からなる「スポンサーチーム」支援の下、現場部門の「DE&I推進者チーム」が現場部門での主体的な取組を展開。 |
社会要請と当社グループ戦略の両面から、ダイバーシティ推進の中でも特に女性の活躍推進を最優先課題ととらえています。2021年度のVision2030制定を機にマテリアリティを改訂し、女性活躍に関するKPIを設定したほか、以下のような数値目標を掲げ、積極的に推進しています。
目標 | 実績 | |
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マテリアリティにおけるKPI | 女性管理職比率18%(2026年4月1日まで) | 10.2%(2023年4月時点) |
女性役員比率(※1) | 20%(2025年4月1日まで) | 20.6%(2023年6月時点) |
女性管理職比率(※1) | 管理職層に占める女性の人数を2020年度の2倍にする(126名)(2025年4月1日まで) | 85名(2023年4月時点) |
また、女性社員を含む管理職の人財パイプラインの形成を目指し、グループ推進体制を強化しています。2020年度にサステナビリティ委員会の下部組織としてソーシャル委員会を立ち上げ、グループ各社・BIPROGYの事業部・本部ごとの組織長登用計画を策定し人財パイプラインを可視化・モニタリングしています。運用開始以来、組織長登用計画について各推進組織へのヒアリングや目標設定・キャリアデザインのチェックを実施、2023年度はグループ会社社員への研修も拡充し、計画達成に向け対策を強化しています。
女性社員の主体的なキャリア形成意識の向上と管理職としてのマインド醸成を目指して、階層別で研修を実施しています。本人のみならず、直属の上司も参加し、双方の意向のすり合わせを行います。また、研修の施策とともに、女性社員を中心としたネットワークを展開しています。社内においては、社内SNSによる交流やランチタイムを利用した座談会を開催しています。社外とのネットワークでは、本社所在地である豊洲エリアのIT企業のダイバーシティ推進担当者によるネットワーク「WITTy(Women in IT in 豊洲)」への参加や、女性技術者のネットワーク「日本女性技術者フォーラム(The Japan Women Engineers Forum : JWEF)」にも参加しています。
女性社員の階層別育成プログラム | 女性社員の人財パイプラインの形成を図ることを目的とし、若手、中堅および組織長候補の女性向けに育成を実施。現場女性組織長によるパネルディスカッションや参加者同士のディスカッション、上司とのキャリア目標のすり合わせ等を含む実践的な内容。 |
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女性社員のネットワーク | 全グループの女性社員を対象とした社内SNSおよび社外イベントへの参加 |
当社グループでは、評価基準、グレード定義を明確に定めることにより、評価や昇進にあたり、男女が公平に処遇を受けられるようなしくみを構築しています。また、ライフイベント等で制約を抱える社員がそのことで不当に扱われず、公平に評価される制度設計や運用を徹底しています。
当社グループでは、多様な属性や制約をもった社員も含め、一人ひとりが、個人の生活やライフステージにおけるさまざまなニーズに合った多様な働き方を選択可能にすることで、モチベーションを高く保ちながら働くことができる環境を整備しています。社員がライフイベントに合わせた働き方や主体的なキャリア形成ができ、さらに組織の中で、お互いが尊重しあい、チームとして最大の成果を上げられるように努めています。
社員の勤続年数が長い(2022年度末の平均勤続年数︓20.9年)当社グループでは、職務の重責を担う40歳代以上の社員が親や配偶者の介護に直面する可能性が高く、男女を問わず働きながら介護に関わることが想定されます。そのような人生の一大事に対しても会社として柔軟な制度を用意していることは、社員にとって大きな安心につながります。
当社は、法令を上回る介護に使用できる制度を有しており、介護休職や介護休暇(介護対象一人につき年間12日の休暇と、最大60日まで年休残を積み立てた積立特別有給休暇)、1日2時間まで勤務を短縮できる短時間勤務など用途に合わせて利用されています。また介護の実態・意識調査を実施し、介護への備えや業務との両立に関する介護セミナー開催や介護ハンドブック公開などの施策を展開しています。
介護セミナー | 年1回開催、全グループ社員対象、社外の有識者による仕事と介護の両立を目的とした講演 |
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ダイバーシティ・マネジメント研修 | 組織長必須研修。介護に携わる部下のマネジメントと組織長自身の介護への備えのために開催。2023年度よりeラーニング化 |
介護ハンドブック | 仕事と介護の両立のポイントを知るためのハンドブック公開 |
eラーニング | 介護の基礎知識を習得し、介護に備える心構えやポイントをわかりやすく学ぶ。グループ社員が任意で受講可。 |
介護休職 | 介護対象1人につき1年まで(複数回取得可能) |
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介護休暇 | (1)積立特別有給休暇を、1日、半日、時間単位で利用可 |
(2)無給の介護休暇を介護対象一人につき12日/年まで 1日、半日、時間単位で利用可 |
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フレックスタイム | 月内で勤務時間数の過不足を清算。コアタイムあり |
短時間勤務 | 2時間/日まで |
カウンセリング | 職業家庭両立アドバイザー、社員相談室、外部カウンセリングに随時相談可能 |
社員の仕事と子育ての両立のため、当社グループでは必要な制度や支援を整えています。組織長向けのダイバーシティ・マネジメント研修を通じて、組織長が仕事と育児を両立する部下へのマネジメントに活かすとともに、社員がライフイベントに合わせた働き方の選択ができ、主体的なキャリア形成ができる組織風土につながっています。全グループ社員向けアンケートにおいて、女性社員の育児のための両立支援制度の活用のしやすさに対して、90%以上が肯定的な回答をしています。また、男性社員の育児のための両立支援制度の活用のしやすさに対しても、80%以上が肯定的な回答をしており、2016年の調査開始以来、継続して肯定的回答が増えています。男性育児の両立支援制度活用に関しても意識が変わってきています。
近年は積極的に育児に関わる男性社員も増加しており、2022年度の男性社員の育児休業取得率は48.7%、育児休業+育児目的休暇取得率は74.7%(いずれも連結グループ※1)になりました。また、当社単体での平均取得期間は119日となっています。男性組織長の育児休業取得も増えているほか、社内SNSにおいて育児に取り組む男性社員同士の交流の輪が広がっています。
ダイバーシティ・マネジメント研修 | 組織長必須eラーニング。仕事と育児を両立する部下を持つマネジメントの役割と行動を学ぶ。 |
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産休・育休者面談 | 産休・育休前および復職後の3者面談(本人・上司・ダイバーシティ推進室担当者) |
男性社員のネットワーク | 全グループの男性社員を対象とした社内SNS |
育児休職中のキャリア開発支援 | 育児休職中のeラーニングや資格取得、通信教育の受講と補助金の給付(条件つき) |
出産前に利用できる制度 | 不妊治療補助金、妊娠中の深夜業制限・時間外労働制限・休日労働制限措置 |
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産前産後休職 | 最長9ヶ月 |
育児休職 | 男女ともに最長子どもが2歳になるまで取得可能(分割取得可能) |
短時間勤務 | 2時間/日まで。「育児期間」として子が最長小学6年生まで、「養育期間」として病気・障害などの中高生の養育を想定し子が18歳まで取得可能 |
妻の出産休暇 | 男性社員を対象に、特別有給休暇を2日まで取得可能(分割取得可能) |
その他 | フレックスタイム、積み立て特別有給休暇(残った年次有給休暇のうち翌年度に持ち越せない分を60日分まで積み立てられ、私傷病、介護、育児、社会貢献などによる休暇を貼日単位で使用できる制度)などの併用も可能 |
社員からの相談内容は育児・介護と仕事の両立、キャリアの選択、能力向上、人間関係など多岐にわたります。社内に常駐するアドバイザー、外部の専門家カウンセラーに面談/eメール/電話で相談することができます。また、24時間対応可能な外部相談窓口に匿名で相談もでき、問題の早期発見と解決を図っています。
当社グループの障害者雇用率は、2023年3月末日時点で2.84%となっています。
障害を持つ社員が安心して働き長く活躍できることを目的に、入社後6ヶ月間の定着支援面談や、障害者雇用に関する専用相談窓口の設置等の取り組みを積極的に行っています。また、2020年度より、農作業を通じた心身の健康ややりがい、楽しさを感じられる就業環境の実現を目的とした屋外農園での雇用を開始しました。さらに、視覚障害者の雇用に向けた本社内でのマッサージルームの開設を進めています。完全在宅勤務を前提とした障害者社員の採用も行っており、障害を持つ社員が活躍できる多様な職場の開発を進めています。
今後は、特例子会社であるBIPROGYチャレンジド株式会社(旧︓NULアクセシビリティ株式会社)へこれらの障害者雇用の取り組みを集約し、障害を持つ社員がより働きやすい環境を整え、雇用の維持・拡大を目指していきます。
障害を持つ社員が組織で活き活きと活躍できる職場風土を醸成するため、全組織長を対象とした研修の実施や全グループ社員が受講できるeラーニングの実施などの取り組みを行っています。
ダイバーシティ・マネジメント研修 | 組織長向け必須研修。障害の有無に関わらず誰もが働きやすい職場を目指し、グループディスカッションやロールモデルとして障害者支援を積極的に行っている組織からの情報共有を取り入れた実践的な研修を実施 |
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eラーニング | 「皆が働きやすい職場にするにはどのような配慮が必要か」を中心に、現場での意識を変えていくためのポイントを学ぶ。グループ社員が任意で受講可。 |
障害者とともに働くためのハンドブック | 障害に関する基礎知識編、雇用前準備編、業務設計編、採用編、運営編に分け、それぞれの状況に合わせて参照できるハンドブックを配布 |
当社グループでは、性的指向・性自認・性表現にかかわらず、すべての人財が活躍できる環境づくりを目指しています。「グループコンプライアンス基本方針」「グループ役職員行動規範」および「BIPROGYグループ人権方針」において、LGBTQなどの性的マイノリティに対する差別を行わない旨を明記しています。
全グループ社員が受講できるeラーニングや、メールマガジン・ハンドブックなどにおいて正しい知識の習得と理解促進に取り組んでいます。また、社内の支援者を増やす取り組みとして、オリジナルのAlly(アライ)ステッカーやオンライン会議用背景画像を作成し、配布しています。
2023年1月には、LGBTQをテーマにした映画「手のひらのパズル」に協賛した記念として、監督/主演を務める俳優の黒川鮎美氏を招いて上映会とトークイベントを開催し、参加者から率直な意見が多く交わされました。
2020年度には、同性パートナーシップ制度に関する規程の新設(休暇・休職、手当、福利厚生等において同性パートナーも配偶者と同様に適用する)や、就業規則の改定(性的マイノリティに対する人格を傷つけるような行為も懲戒事由となる)を実施しました。また、性別適合手術・ホルモン治療時に積立特別休暇、私傷病休職の取得が可能であり、費用の補助も行っています。
当社グループでは、国籍に関わらず、多様な個性/意見を受け入れる風土の醸成を目指しています。
BIPROGY単体で、外国籍社員の定着支援を図ることを目的とし、外国籍社員およびその直属上司を対象として「異文化理解研修」を実施しています。
当社グループは、人財こそ当社グループの最も重要なアセットであるという認識のもと、多様な人財の活躍を促進するための人事制度を整備し、新規事業創出を人財面から支えています。雇用者の責務として従業員の人権を尊重し、職場における安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成に努めています。関連の法令遵守はもちろんのこと、労働環境に対する社会的関心の高まりや、国際的な原則も考慮したうえで、人権侵害、労働災害や健康障害を未然に防ぐ取り組みを推進し、従業員が将来にわたり心身ともに健康で、安心して働ける職場づくりを目指しています。
また、当社グループは、「国連グローバル・コンパクト」に2014年に署名し、「ILO中核的労働基準」の4分野(結社の自由及び団体交渉権、強制労働の撤廃、児童労働の実効的な廃止、雇用・職業における差別の撤廃)を支持しています。
雇用・職場においては、「グループコンプライアンス基本方針」および「BIPROGYグループ役職員行動規範」に定める通り、人種、信条、性別、社会的身分、宗教、国籍、年齢、性的マイノリティ、心身の障害などに基づく不当な差別は行いません。また2020年6月に「BIPROGYグループ人権方針」を策定し、あらゆる形態の強制労働や児童労働は認めないこと、労使間の対話を大切にし、労働者の団結権、団体交渉権を含む労働者の権利を尊重することをコミットしています。
なお、労働基準に関する法令や会社方針については、就業規則などの配布、社内ホームページへの掲載、eラーニングなどによる啓発を通じ、国内外の従業員に周知を図っています。
社員を適正に評価し処遇することを趣旨として、人事考課と業績評価を実施しています。
人事考課は社員の能力・コンピテンシー・行動(コンプライアンスの遵守、勤務態度、自己啓発等)に視点を当てた評価で、その結果により資格等級(グレード)、月例給を決定し、業績評価は個人(組織)目標の達成度(成果)を評価し賞与に反映します。
なお、それぞれの評価が決定した後、必ず上司と社員とのフィードバック面談を実施することとしており、面談において評価の最終結果だけでなく、期待を上回っていた点、今後改善が求められる点、次のステップに向けての期待事項などを伝えることで、社員の評価に対する納得性を高めとともに、評価を通じた良好なコミュニケーションと社員のモチベーションの向上を図っています。
また、評価は年1回(年度末)の実施になりますが、期中においても1on1ミーティング等を通じ、適宜、目標達成状況の確認や、業務遂行上の課題について話し合うよう取り組んでいます。
労働基準法などの各種法令や労働組合との労働協約に基づき、賃金、諸手当、賞与、退職金などについて社内規程を定め運用を実施しています。最低賃金、法定給付、超過勤務などの賃金関連法令を遵守し、決められた支払い期間と時期で給与明細または電子データによる通知を行い、直接、従業員へ賃金を全額支給しています。また、国籍や信条、社会的身分、性別などによる格差はありません。
社員が安心して業務に取り組める様に福利厚生制度を設けています。生活の基盤である住宅関連として、独身寮・転勤社宅の制度を設けています。その他、積立貯蓄・財形貯蓄制度・非常資金貸付や社員持株会、互助組織である福祉会など、社員が安心して生活を送ることができるように様々な制度を設けています。
社員が自らのライフスタイルに応じて適切なワークスタイルを選択できる様に、フレックス勤務制度や在宅勤務制度、地域定住オプション制度を設けています。また、勤続年数に応じ、心身の健康の維持、疲労回復を図るため長期休暇取得を行うリフレッシュ休暇制度も設けています。
就業規則において、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメント、LGBTQなど性的マイノリティに関するハラスメントを含め、社員の人格を傷つけ、業務、意欲を阻害させるような行為をしないよう努めることを定めています。また、「セクハラ防止ガイドライン」「パワハラガイドライン」を作成し、社内の啓発に努めており、特に管理職に対しては、新任管理職全員が必ず受講する研修において事例の共有を行うなど、注力して啓発を実施しています。
人事担当部門に設置された社内相談窓口と、匿名・記名を問わず利用できるコンプライアンス委員会事務局・監査役への直接の報告・相談ルート(ホットライン)を社内外に設置し、従業員は、相談、報告の内容に応じて、適切なルートを自身で選択することができます。
また、これらの報告、相談を行った者(通報者)がそれにより不利益を受けることがないよう、会社は最善の配慮を行うよう定め、通報者の保護を図っています。さらに、通報者の行為に対して不利益な取り扱いを行った役職員に対しては、懲戒処分などの厳正な対応を行うよう「グループコンプライアンス基本規程」に明記しています。
社員からの相談内容は育児・介護と仕事の両立、キャリアの選択、能力向上、人間関係など多岐にわたります。社内に常駐するアドバイザー、外部の専門家カウンセラーに面談/eメール/電話で相談することができます。また、24時間対応可能な外部相談窓口に匿名で相談することもでき、問題の早期発見と解決を図っています。
当社グループは、結社の自由と団体交渉権を尊重しており、当社および一部のグループ会社の社員が加入する「BIPROGY労働組合」が組織されています。各社と「BIPROGY労働組合」の各企業支部は、それぞれ安定した労使関係にあり、労使協議会などを通じ、社員の労働条件などについて定期的に交渉・協議しています。
労使協議会は原則、月1回開催し、労使間での対話を実施しています。
2022年度の労働組合加入者割合は、94.83%です。
当社グループでは、労働安全衛生法に基づき、該当する事業場ごとに衛生委員会を定期的に開催しています。委員会では、
などについて調査・審議が行われており、必要に応じて会社に対して意見を述べています。
当社グループでは、「社員が自律的に健康の保持・増進に努めることを支援し、安心して働ける職場環境を整備することが、ウェルビーイング(精神的・身体的・社会的に良好で幸せな状態)を高め、社員自身や組織の活性化につながり、PurposeおよびVision2030を実現して企業価値を向上するための重要な基盤になる」という考えのもと、社員の健康の保持・増進を推進しています。
当社グループでは、社員のウェルビーイングを高め、生産性や創造力を強化することが企業価値の向上を目指す上で大きな課題だと認識しています。
社員が、不調を抱えながら業務を遂行することが自身および組織の労働生産性に悪影響を及ぼすことを認識し、自律的にヘルスリテラシー(健康知識、健康管理能力、健康増進実践力)の向上を図ることで、結果としてアブセンティーイズム(欠勤・休職)およびプレゼンティーイズム損失(不調によりパフォーマンスが低下している状態)が減少し、自身および組織の労働生産性の維持向上ができることを目指しています。
ヘルスリテラシーの向上とアブセンティーイズム・プレゼンティーイズムの改善を健康関連の最終的な指標としています。
健康経営の取り組みについては、2016年4月にグループ全体の健康経営戦略を統括する役割として、代表取締役社長がチーフ・ヘルス・オフィサー(CHO)に就き、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを推進しています。
健康管理担当として、人事部内に専門スタッフ(産業医、保健師、産業カウンセラー等)を配置し、健康管理に関する各種施策をグループ会社人事・健康保険組合・福祉会・労働組合と一体となり推進しています。また、意思決定機関であるサステナビリティ委員会の下部機関であるソーシャル委員会において、社員の心と身体に対してケアを行い、社員の健康を維持・増進するための重要課題(マテリアリティ)の特定、対応方針の検討、対応施策の設定と実行状況のチェックおよび懸案事項に関する是正指示等を実施しています。
健康保険組合との間では、相互に業務を兼務し合い、保健指導での連携や人間ドック、各種ワクチン接種補助の検討などコラボヘルスの推進を行い、労働組合とはウォーキングイベントでの健康ポイントの付与、福祉会とは健康ポイントプログラムの運用、食生活改善アプリ、フィットネス施設利用補助など特に健康増進の分野で連携しています。
2021年度から当社グループのマテリアリティにおいて「役職員の心身の健康維持・増進」を掲げ、2023年度までは次の2つを指標として取り組んでいます。
指標と目標 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
メンタル休職者の総休職日数2019・2020年度の平均日数比 5%減(2023年度) | 9.1%減 | 1.4%増 | 1.3%増 |
健康診断での血圧リスク者への診療所での診察および保健師による生活習慣指導率Ⅱ度・Ⅲ度高血圧者への対応100%(2023年度) | Ⅲ度 100% (Ⅱ度は2022年度から) |
Ⅱ度・Ⅲ度とも 100% | Ⅱ度・Ⅲ度とも 100% |
2024年度からの3ヵ年からは次の2つを指標として取り組んでいます。
指標と目標 | 目標達成年度 |
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メンタル面の不調を理由とする新規休職者数を2023年度の人数以下とする | 2026年度 |
健保特定保健指導における積極的支援対象者へのフォロー率100%を達成する |
『生活習慣病予防』 『メンタルヘルス対策』 の2つを主要テーマに、「健康増進」「早期発見・対応」強化による社員の健康保持・増進に取り組んでいます。
身体指標に加え、自覚症状、生活習慣、ストレス、パフォーマンスなどについて多面的な分析を実施しており、たとえば、
等の分析結果が出ています。これらの結果を受け、主要テーマの中でも特に課題である「生活習慣病(特に血圧)」「睡眠」「メンタルヘルス」対策に加え、医療費の面で増加が見られる「がん」を軸として「女性の健康」対策も加味した施策を今後実施していきます。 健康保険組合・労働組合・福祉会とは、定期健診と人間ドックの統合や特定保健指導を始めとして、行動変容面(運動など)でのコラボヘルス拡大を進めていきます。
「働き方改革」を推進する指標のひとつとして、2018年度からは、独自基準による年次有給休暇取得率80%の達成を掲げています。余暇を確保しワークライフバランスを実現することにより、心身の健康維持・向上を図っています。
年休取得奨励日の設定、アニバーサリー休暇制度、連続休暇取得の奨励等の取組みを通じ、2023年度の有給休暇取得率は、85.81%、平均取得日数は14.8日でした。
指標 | 単位 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
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有給休暇取得率 | % | 86.20 | 81.10 | 82.54 | 85.15 | 85.81 |
有給休暇取得平均日数 | 日 | 15.3 | 13.7 | 13.7 | 14.5 | 14.8 |
労使間での36協定締結など法令遵守はもちろんのこと、「残業メリハリ活動」などの働き方改革の施策によって、残業時間の削減に努めています。また、管理職についても実労働時間を把握する仕組みを導入しています。
2023年度の従業員1人当たりの平均月間残業時間は、17.5時間となっており、過去5年間においても18時間未満となっています。
指標 | 単位 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
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従業員1人当たり平均年間労働時間 | 時間 | 1,808 | 1,845 | 1,841 | 1,848 | 1,851 |
従業員1人当たり平均月間労働時間 | 時間 | 15.6 | 14.9 | 16.3 | 17.3 | 17.5 |
過重労働による健康障害防止対策として次のような対策を実施しています。
身体不調への対策 | 血圧計、Inbody計測器、バランスボール、BIPROGYマッサージルームの設置 |
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心身の相談対応 | 社員相談室の設置(産業カウンセラー・公認心理士によるカウンセリング) |
社員食堂の整備 |
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健康ポイントプログラム | 健康増進に向けた新健康ポイントプログラムを2022年6月から提供(2023年度は603名が参加/前年度比+88名) |
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生産性低下防止のためのアプリ活用 | 主にスタートアップ企業のアプリを活用し、特定症状(肩こり腰痛、肥満、睡眠不足など)の改善、食事改善を継続して実施 |
健康ポータルの提供 | 健康診断結果の閲覧、健康コンテンツの提供等、健康経営の窓口 |
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健康経営セミナーの開催 | 2023年度は、メンタルヘルス面を強化し、ストレスマネジメント、組織長が取り組むラインケア(基礎編/応用編)、ストレス軽減の眠りセミナーを開催 フィジカル面では、数字で読み解く体重管理のポイント、忙しく働く女性の健康トラブル対策、肩こり・腰痛改善、食生活見直し、パフォーマンスUPのための自律神経セミナーなどを開催(計10回/延べ1,766名参加) |
健康に関する検定試験の受診勧奨 | メンタルヘルス・マネジメント検定試験、日本健康マスター検定試験の受験推奨 |
社員への啓蒙 |
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指標 | 単位 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
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CCHL(Communicative and Critical Health Literacy: 一般向けヘルスリテラシー尺度)(※) |
- | 3.62 | 3.65 | 3.67 |
健康経営セミナーの社員満足度 | % | 94 | 93 | 92 |
法定の健康診断項目に、年齢別に必要な項目を追加した定期健康診断を実施しています。PCやスマートフォンで検査結果を参照できるシステムを導入しており、診断結果の正しい理解と健康意識の向上を図るとともに、高血圧者などハイリスク者への診療所での診察および保健師による生活習慣指導を行い、精密検査や医療機関受診の勧奨を実施しています。
また、BIPROGY健康保険組合との連携により、がんの早期発見に向けて、婦人科健診や、人間ドック、脳ドック受診料を補助する制度を設けています。
2024年度からは、さらなる健康意識向上と「がん」や「隠れた疾病」の早期発見を目的として、定期健康診断と人間ドックを統合した「新定期健康診断」を35歳以上の社員を対象として導入しています。
指標 | 単位 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|---|---|
定期健康診断受診率 | % | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
喫煙率(※1) | % | 23.4 | 16.8 | 20.9 | 20.2 | 19.5 |
運動習慣率(※1) | % | 21.6 | 33.6 | 21.9 | 24.8 | 25.4 |
睡眠充足率(※1) | % | 61.8 | 78.7 | 73.7 | 73.2 | 70.1 |
朝食欠食率(※1) | % | 28.0 | 24.4 | 28.3 | 29.7 | 31.1 |
過剰飲酒率(※1) | % | 11.0 | 7.5 | 8.9 | 8.6 | 8.4 |
適正体重者率(※1) | % | 71.6 | 69.3 | 70.6 | 70.6 | 71.4 |
高血圧者率(※1※2) | % | 17.1 | 21.6 | 18.4 | 18.8 | 16.8 |
脂質異常者率(※1) | % | 22.4 | 27.5 | 23.4 | 21.3 | 21.1 |
糖代謝異常者率(※1) | % | 12.8 | 14.3 | 11.1 | 12.2 | 13.0 |
プレゼンティーイズム(※3) | - | 1.000 | 0.983 | 0.982 | 0.985 | 0.993 |
アブセンティーイズム(※4) | % | 3.9 | 3.5 | 4.4 | 4.5 | 4.0 |
社内診療所を設置し、内科、精神科、皮膚科の診療を実施しています。2022年度は新たに女性専門外来を開設しました。心電図検査、エコー検査も実施可能で、薬局、休養室などの設備もあり、社員が生涯に亘って安心して働ける環境を整えています。2016年度からは禁煙外来を開始しています。
健康管理センターを設置し、保健師が随時健康相談を実施しており、診察が必要と判断した場合には、診療所と連携して治療や指導にあたる体制を整えています。
2020年度より社内診療所の診察および社員相談室のカウンセリングについて、対面だけではなくオンラインでも実施し、社員の利便性向上を図っています。
また、社員へ季節性インフルエンザ予防注射の接種を推奨し、毎年11月頃に本社支社店内で接種を実施しており、あわせて社員および社員家族への接種費用補助を行なっています。新型コロナウイルスワクチンの職域接種も医療機関と提携して実施しています。
労働者が自分のストレスの状態を知ることでストレスをためすぎないように対処できるようにするために、ストレスチェックを実施しています。必要に応じて医師等の面接を受けたり、仕事の配慮や職場の改善につなげたりすることで、メンタルヘルス不調を未然に防止するために、次のような対策を実施しています。
指標 | 単位 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
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ストレスチェック受検率 | % | 94.9 | 97.7 | 98.0 | 97.2 | 97.1 |
高ストレス保有者率 | % | 12.4 | 10.7 | 11.9 | 11.3 | 12.4 |
女性社員比率の増加を受けて、社内診療所へ女性専門外来を開設しています。診察は女性の婦人科専門医が個室にて行っています。また、専門医監修のもと、看護師から女性が健康で働き続けるために知っておきたいこと、自分の体にじっくり向き合ってみるための女性特有の健康課題や情報について「女性の健康だより」として発信を行っています。
また、2023年10月からは、自社のサービスとして「女性が働きやすい職場を目指し、心身の健康の悩みを「対話」によってサポートする企業横断型コミュニティー“marbleMe” (https://www.marbleme.jp/)」を社員向けに導入し、女性特有の健康対策に努めています。
本格的な少子高齢化を背景に労働力不足が深刻な社会問題となる中、豊富な経験と知見を持つ中高齢社員が活躍できるような施策を実施しています。
2021年度よりNSI(ネクスト・ステージ・インテグレーション)と称し、新たな定年後再雇用制度を開始しました。NSIでは、定年前の業務で培った知見や経験をより生かして活躍できるように、配属先や処遇を見直したことにより、再雇用希望者の割合が、制度開始前3年間の平均に比較して12ポイント上昇しています。また、定年退職後に多様な働き方について実現するために、フルタイム以外に週1~週3の勤務日数を選択することができるようにして、現在20名(5.2%)の方が週5日以外の勤務形態を選択しています。多様な価値観を尊重する働き方を用意することで、"人生100年時代"をチャレンジし続けるために、高い意欲を持って働く人財づくりを実現します。さらに、市場価値/専門性の高いハイスペック人財をシニアエキスパート社員として認定し、雇用延長制度とは異なる待遇にて定年退職後も引き続き会社に雇用するシニアエキスパート制度も設けており、現在40名(雇用延長者の10.4%)の方が活躍されています。
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