BIPROGYグループは、気候変動など年々深刻化する環境課題の解決に対する企業への期待や要請の高まりを受け、「顧客・パートナーと共に社会課題を解決する企業」としての社会的責務を果たし、更なる成長につなげていくため、2050年を見すえた目指すべき持続可能な社会の姿と、その取り組みへの想いや方向性を示した「環境長期ビジョン 2050」を、2020年7月に公表しました。
当社グループの事業活動における環境への貢献は、自社の温室効果ガス(以下GHG)排出抑制だけでなく、ビジネスエコシステム、さらには「デジタルコモンズ」をともに構築するすべてのステークホルダーをも視野に入れたものとして捉えるべきだと考え、“ゼロエミッション社会の実現”という大きな目標を掲げています。
2015年末のパリ協定以降、国際社会は脱炭素へと舵を切り、GHG排出に対する規制の強化に伴う市場環境の変化が加速しています。年々深刻化する気候変動影響等の課題解決に貢献する技術やイノベーション創出への期待が高まっています。このような状況のなか、当社グループは、気候変動の緩和と適応や循環型経済システムの確立は、持続可能な社会の実現において喫緊に取り組むべき課題であると同時に、未来世代に対する責務であると認識し、「環境長期ビジョン2050」の策定や、環境関連の国際イニシアチブであるRE100※の加盟、TCFD※提言への賛同表明、環境貢献委員会の設置など、環境経営の取り組みを強化してきました。
さらに2021年には、ゼロエミッションを含む3つの社会インパクトを柱に価値創造を目指す「Vision2030」の公表とともに、新たなマテリアリティを策定しました。デジタルを活用した環境貢献、環境負荷の軽減に向けた取り組みの推進により、環境長期ビジョン2050に掲げる「当社グループが構築・参加するデジタルコモンズを通じた幅広い環境貢献によるゼロエミッション社会の実現」を目指し、2050年のパリ協定の目標達成にも貢献していきたいと考えています。
当社グループは、「Vision2030」に掲げた持続可能な社会の実現に向けたマテリアリティを特定しています。環境分野においては、以下のマテリアリティを特定しました。2021年度よりKPIと目標を定め、取り組みを推進しています。
当マテリアリティは、カーボンニュートラルやサーキュラー・エコノミーを促進するサービスの提供や脱炭素社会実現に向けた連携・協働を進めるとともに、事業活動にともなう環境負荷を低減することで、温室効果ガス(GHG)排出量削減への貢献を目指すためのものです。当社グループは、カーボンニュートラルやサーキュラー・エコノミーを促進する環境貢献型サービスの提供による脱炭素社会の早期実現、再生可能エネルギー調達等の事業活動低炭素化への取り組み強化による環境負荷の低減、などを通して社会的価値を創出していきます。そして、環境貢献に資するサービス収益の拡大と、気候変動に起因する事業リスクの低減によるコストの抑制が、当社グループに経済的価値を創出するものと考えています。
このような考えのもと、2021年度は、モニタリング指標「ゼロエミッション達成率※」の算定ロジックの整備により、お客様や社会に対する温室効果ガス削減貢献量を見える化する取り組みや、事業活動におけるGHG 排出量の削減と環境貢献型製品・サービス提供の拡大を図りました。また、全社横断型のプロジェクトによる気候変動関連のビジネス機会とリスクの抽出とインパクト評価を実施し、抽出したビジネス機会を事業活動に反映するとともに、気候変動リスクを当社グループのリスクマネジメントシステムに反映しました。
これらの取り組みの結果、2030年度に再生可能エネルギー調達率50% 以上達成を目指す目標に対し、2021年度は調達電気の7.4%を再生可能エネルギー由来へ転換するとともに、テレワークの推進やオフィス・機器の効率利用等による省エネルギー関連の施策により、2021年度はGHG 排出量(Scope1+ Scope2)を基準年(2019年度)比で9.0%削減しました。2030年度までに50%以上の削減を目指しています。
当マテリアリティは、人権の尊重や環境負荷低減を図ったバリューチェーンを構築・維持し、安心・安全な製品・サービスを調達・提供するためのものです。
当社グループは、各種法令や社会規範を遵守した安心・安全な製品・サービス提供による社会活動を支えるITインフラの安定化・維持、環境・社会に配慮した製品・サービスの提供によるエシカル消費普及を通した持続可能な社会の実現、などを通して社会的価値を創出していきます。お客様・取引先との信頼関係強化や優良パートナーとの関係資本強化による収益機会の拡大と、バリューチェーン全体における人権・環境負荷等に関する事業リスクの低減が、当社グループに経済的価値を創出するものと考えています。
当社グループのバリューチェーンにおいては、これまでも「グリーン調達ガイドライン」の制定やアンケート調査などを実施し、取引先との協働による環境負荷の少ない製品・サービスの調達を推進しており、2021年4月に「BIPROGYグループ サステナビリティ調達ガイドライン」を策定、公開しました。当ガイドラインは、当社グループはもとより、仕入先様、協力会社様において、環境貢献の分野でご理解と実践頂きたい内容を示しています。
このような状況のもと、2021年度は、サプライチェーンのScope3GHG 排出量を算出し、第三者の独立した保証声明書を取得のうえ対外開示しました。今後は、Scope3排出量削減目標を設定しさらなる削減に努めていきます。また、主要サプライヤーに対してESG に関する取り組み状況の調査とリスク評価を実施しました。今後、実施したリスクアセスメントに基づき主要サプライヤーへ対応(改善要望)を行いリスクを低減していきます。
以上のように、当社グループのゼロエミッションは、自身の事業活動におけるGHG排出削減への取り組みだけでなく、社会やお客様に対する事業を通じた幅広い環境貢献を目指しています。