当社グループは、「経営方針(2021-2023)」において投資戦略を重要な施策と位置づけ、先端テクノロジー活用とイノベーションの持続的な創出を目指しつつ、戦略投資を加速していきます。デジタルコモンズの実現に向けて、研究開発においては、業界や顧客への深い理解に基づきDXを加速させるサービス開発や、先端テクノロジーを基軸とした研究・開発、サービス型ビジネスを加速するサービス開発や技術力強化への継続的な投資を行っています。また、アウトソーシングサービスやサービス型ビジネスの強化のための設備投資も実施しています。さらに、風土改革、構造改革に必要な人財への投資、社内IT投資も引き続き推進していきます。
当社はBIPROGY 株式会社への社名変更を契機として、今後は国内外を問わずM&Aも含めた積極的な投資を進めていくこと等により、世界で唯一無二のブランドを確立していきます。
戦略投資 |
|
---|---|
研究開発 |
|
設備投資 |
|
構造改革投資 |
|
投資判断の意思決定機関として下表の委員会を設置しており、さらに重要事項については、経営会議にて審議を行っています。
投資委員会 | グループの注力領域の方針に基づき事業や商品・サービスに関する計画の妥当性を審議し、投資の可否を決定。また、当該計画の予実管理・評価を行い、必要に応じ見直しを要請 |
---|---|
情報システム投資委員会 | グループの自社システムの開発・運用などについて、コスト・効果・適用技術の妥当性などを審議し、投資の可否を決定。また、当該計画の予実管理・評価を行い、必要に応じ見直しを要請 |
なお、社内のIT戦略については、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)とCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)のリーダーシップのもと、推進しています。また、技術戦略の策定や実行は、弊社グループの研究開発拠点である総合技術研究所の所長を兼任するCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)が統括しています。
当社グループは、国内外のスタートアップとのビジネスエコシステムの形成・拡大を目指し、さまざまなオープンイノベーション活動に取り組んでいます。多様なチャネルを活用し、多くのスタートアップとのコネクション構築を図っているほか、先進的なテクノロジーベンチャーの支援も行っています。また、社外との人財交流により、多様な専門的スキルを持った人財育成も活発です。
スタートアップへの投資としては、SDGsやウェルビーイングなど、社会的影響が高まっている領域や、GenerativeAIなどの注目分野、人手不足などの課題解決が早期に求められる物流業界などへ積極投資しています。
既存1社 | シンガポール・マレーシアでSAPソリューションを提供 | |
---|---|---|
新規2社 | タイでSAPソリューションを提供 | |
シンガポールで中小企業向けERPソリューションを提供 |
企業のDX 推進に伴い、基幹業務を一元管理して、経営の効率化を図るERPソリューション市場は海外市場でも拡大傾向にあります。また、海外に進出する日本企業にとっても、現地拠点の経営情報の見える化や、タイムリーな経営判断を行うことは重要課題の一つです。当社は2019年に、シンガポールおよびマレーシアでSAPソリューションを提供するAxxisを子会社化しました。さらに、ERPソリューションを提供するNexus System Resources Co., Ltd.(タイ)を2023年1月にグ ループ会社化、AFON IT Pte. Ltd.(シンガポール)とその子会社を2023年4月に連結子会社化し、東南アジア地域におけるERP事業体制を整備しました。
当社は今後も、ERPソリューションの展開地域や製品ラインナップをさらに拡大・強化し、日本と東南アジアの双方からサポートできる体制を整備していきます。加えて、日本企業の海外進出および事業展開、現地企業のDXを支援することで、社会課題を解決するビジネスエコシステムを創出し、デジタルコモンズを社会実装するグローバル企業としてのポジションを確立していきます。また、2030年までに海外事業を当社グループの収益を支える柱の1つへと成長させていきます。
当社は、多様な分野の企業共創により国産木材の流通・利活用を推進する「キイノクス プロジェクト」を2021年に発足しました。プロジェクトで扱うメインテーマは、「国産木材のサステナブルな流通」です。2022年2月に木材業界DXのための「木材流通プラットフォームサービス」の試行を岐阜県で開始し、2022年6月にオフィス向け家具販売/内装事業に参入しました。国産木材の流通サプライチェーンと需要創造の両側面に関わる複数のプロジェクトを通じて、森林の問題解決、地域経済の活性化、心身の健康と豊かな生活の実現を目指します。
当社グループは、サービス型ビジネスを加速するサービス開発や技術力の強化のための研究開発投資を行っています。市場ニーズに応える魅力的なアウトソーシングサービス提供のためには、機能のバージョンアップのための投資も絶えず行う必要があり、投資を行いながら収益も増やす好循環サイクルを回していきます。
また、設備投資に関しては、アウトソーシングサービスの拡大に対応した適切な投資を実行していきます。
テーマ | 主な事例 |
---|---|
サービス・商品等の開発 |
|
新技術に関する研究・開発 |
|
基盤となる技術や先端技術等の研究・開発 |
|
当社は、内閣府による「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/自動運転(システムとサービスの拡張)/仮想空間での自動走行評価環境整備手法の開発」(以下、SIP自動運転)に2018年より参画しています。安全で円滑な自動運転の実現に向け、産学12機関からなるDIVPコンソーシアムを形成し、さまざまな交通環境下での安全性評価を検証するために、実現象と一致性の高いシミュレーションモデル(走行環境 - 電波伝搬 - センサー)を特徴とする、仮想空間における検証プラットフォーム(DIVP︓Driving Intelligence Validation Platform)の構築に取り組んできました。
これらの活動を通じて、当社グループは2022年7月に新会社「V-Drive Technologies株式会社」を設立し、SIP自動運転での研究成果をもとに製品化した、自動運転安全性評価のためのプラットフォームDIVP (以下、DIVP製品)の提供を2022年9月より開始しました。DIVP製品の提供を通じて、自動運転システムの効率的な開発およびその社会受容性の醸成に係る自動運転の安全性評価基盤の確立を支援し、すべての人が安心安全に移動できる社会を目指します。
新たな社会的価値を創出する人財を獲得・育成するための人財改革や、多様な人財が最大限に能力を発揮できる組織・職場づくりのための働き方改革に取り組んでいます。また、顧客DXと社会DXを両面から推進してパートナーやコミュニティと共にビジネスエコシステムを拡大させ、ビジネスのさらなるデジタル化に向けた社内改革(社内DXの推進)にも取り組んでいます。
CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)とCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)のリーダーシップのもと、社内のIT戦略を推進しています。当社が主力事業としてきたシステムインテグレーション型開発の再整備では、エンジニアリング部門に従来型受託開発の高度化とDX適用、プロダクト開発の研究開発機能を設置しています。また、多様なICTツール(業務基幹系システム、クラウドファーストなオフィスアプリケーション、モバイルファースト、Web 会議システム、企業内SNSなど)を活用し、コミュニケーション促進と生産性向上を図るとともに、イノベーションの創出につながる勤務環境の構築を目指しています。ゼロトラストによるシームレスなネットワークを構築し、知財を見つけやすくするために高セキュリティ機能を有したクラウドストレージを導入しているほか、社内照査プロセスの電子化および電子署名サービス導入なども推進しています。
また、2022年度から2023年度にかけて、業務プロセス改善のためのBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)、継続的な業務改革を行うためのBPM(ビジネスプロセス・マネジメント)の環境構築、およびデータ・ドリブンな経営を支える基幹系システム刷新に取り組んでいます。今後のビジネスを支える自社IT システムの基盤整備を通じて、従来型ITシステムのモダナイゼーションと自社基幹業務のDXを加速させます。そして、そこで得た知見を実践リファレンスにすることで、顧客DXと社会DXを実現するスキルと経験を積み重ねています。
2022年6月に経済産業省、東京証券取引所、独立行政法人情報処理推進機構が選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX 銘柄)2022」における「DX 注目企業2022」に選定されました。
当社グループは、企業理念に掲げる「人と環境にやさしい社会づくりへの貢献」を実現するため、「先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、持続可能な社会を創出します」というPurposeを定めています。持続可能な社会の創出を実現するには、社会を構成する“人”を理解することが大切であることから、当社総合技術研究所を中心に人を対象とした研究開発を進めています。人を対象とした研究開発には、人の尊厳を守る仕組みが必要となります。医学系研究では、人の尊厳を守る取り組みが先行して行われており、「ヘルシンキ宣言」(注1)や関連法令および指針(注2)等によって示されています。またその指針では、倫理的、科学的観点、研究機関および研究者等の利益相反に関する透明性を審査することが求められています。これらを参考に、当社では、「生命科学研究倫理審査委員会」を2020年3月に設置しました。当委員会では、医学系研究の指針等の趣旨に沿いつつも、センサーデバイス等のIoT機器の普及に伴い、人から得られる情報を取り扱う研究分野の裾野が広がっている現状を踏まえ、医学系研究の倫理指針では判断しきれない新しい基準を検討していきます。
生命科学研究倫理審査委員会では、社外有識者を招き、人を対象とする研究について倫理的配慮、科学的妥当性を審査します。これにより、人に関連する研究の実験参加者の尊厳を守り、企業が個人の情報を取り扱うことに対する社会の信頼を確保するとともに、役職員が安心して研究できる環境を確保することで、イノベーションを推進していきます。
また、当委員会の活動状況(運営規程、議事録等)は、当社グループWebサイトを通じて、広くステークホルダーに公表しています。
分野 | 氏名 | 担当 | 所属 |
---|---|---|---|
自然科学 | 桜田 一洋 | 委員長 | 慶應義塾大学医学部 |
社会・倫理 | 神里 彩子 | 委員 | 東京大学医科学研究所 |
一般 | 小野 真世 | 委員 | 株式会社電通PRコンサルティング |
社会・倫理 | 山内 宣子 | 委員 | BIPROGY株式会社 |
自然科学 | 香林 愛子 | 委員 | BIPROGY株式会社 |
当該委員会開催数:11回(2023年9月末日時点)
付議された議案数:17件
近年、膨大なデジタルデータを取り扱うために生み出されたコンピューティングアーキテクチャと、蓄積されたデータをもとに学習し、認識・推論を行う AI 技術は、人々の生活の質の向上に大きく寄与し始めています。さらには地球上の誰一人として取り残さないために表明された国連の持続可能な開発目標(SDGs)で取り上げている健康と福祉、気候変動など、多くの課題解決に寄与するキーテクノロジーでもあります。AI 技術は私たちの社会をより豊かに変革する力を持つ一方で、適切に利用、運用、管理されない限り、個人のプライバシーや多様性、公平性を損なうなど、社会に対してネガティブな影響を与えかねない側面を持っています。当社グループでは、AIが人に与える正負の影響を認識し、適切に対応するために「AI 倫理指針」を策定、 AI倫理の従業員への教育を行い、プロジェクトの対応を支援する体制を強化し、科学技術の急速な発展に伴って生じる倫理的・法的・社会的課題(ELSI: Ethical, Legal and Social Issues)への対応を進めています。
当社グループでは、「データ分析やAI 利用技術で企業・社会課題を解決する」ことをコンセプトに、各種サービスを開発・提供しており、 VUCA 時代におけるデータ利活用の高度化を目指しています。
生成AIに関しては、当社グループが長年取り組んできた自然言語処理技術のノウハウや知財を生かし、差別化されたビジネスを展開していきたいと考えています。業務効率化、業務高度化などの利便性に対する期待から、多くの企業や行政機関などで活用の検討が進められていますが、有効活用するためには生成AIの知識や業務への適性判断など、一定のスキルが求められます。また、機密情報の漏えいやプライバシー・権利侵害などAI 活用の懸案・リスクについても対応が必要です。当社グループでは、2020年2月に「BIPROGYグループのAI 倫理指針」、2023年4月に「ChatGPTなど生成AIの業務利用についてのガイドライン」を策定し、自社業務への生成AI 適用や、お客様へのサービス提供に向けて積極的に取り組んでいます。
消費者を、データやAIを活用して適切にセグメント化し、セグメントごとに適したプロモーション施策を提供することで、消費者の購買や行動変容の促進を支援するサービス
企業向け「ChatGPT」利用環境構築サービス。Azure OpenAI Serviceの活用でセキュアな生成AI環境構築と、顧客の生成AI活用シナリオの作成を伴走型で支援
リスク管理委員会では、管理対象とするリスクをグループ全体で共通化し一元的に管理することを目的に、グループ共通のリスク分類体系を整備しています。現在、個...
ますます複雑化・巧妙化する情報セキュリティ上の脅威に適切かつ迅速に対処するため、グループ全社員を対象としたeラーニングや階層別集合研修、技術者向けサイ...
(2023年4月現在) BIPROGY株式会社 UEL株式会社 ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社 株式会社...